日本の避難所は遅れている?海外との比較から見える課題と現状

社会問題

日本の避難所は、災害時の一時的な生活拠点として重要な役割を果たしますが、海外の先進国と比較するとプライバシーや住環境の質に課題があると言われています。本記事では、日本の避難所の現状を海外の事例と比較し、その改善策について考察します。

スフィア基準

スフィア基準は、災害や人道危機の時に、被災者が人間らしい生活を送れるようにするための「国際的なルールブック」です。

主な内容

スフィア基準は4つの技術分野と基礎的な人道的原則で構成されています。

  1. 水供給、衛生、衛生促進(WASH):
    ・1人1日あたり最低15リットルの水を確保。
    ・20人につき1つのトイレを設置。
  2. 食料安全保障と栄養:
    ・最低1人あたり2,100キロカロリー/日を提供。
    ・栄養不足を予防し、子供や妊婦への特別な配慮。
  3. シェルターと生活再建:
    ・安全でプライバシーを確保した居住空間。
    ・寒冷地では十分な保温対策。
  4. 医療サービス:
    ・基本的な医療サービスへのアクセス。
    ・感染症対策と健康促進。

スフィア基準に照らし合わせると、日本の避難所は特にプライバシー確保や衛生環境の面で基準を満たしていない部分が多く見られます。

日本の避難所の現状

日本の避難所の良い点と課題について挙げていきます。

出典:内閣府「令和6年能登半島地震における避難所運営の状況」

良い点

  1. 迅速な設置と運営
    ・地震や台風などの災害発生直後に、全国各地で迅速に避難所が設置されます。
    ・学校や公民館などの公共施設を活用することで、効率よく避難者を受け入れる仕組みがあります。
  2. 地域住民の協力
    ・避難所運営には地域住民が積極的に参加し、自治体と連携して支援活動を行うことが一般的です。
    ・コミュニティの力を生かした助け合い精神が見られます。
  3. 物資の供給体制
    ・水や食料、毛布などの基本物資が比較的迅速に提供されます。
    ・災害対策基本法に基づき、備蓄品が多くの自治体で事前に準備されています。
  4. 災害経験の蓄積
    ・日本は頻繁に災害を経験しているため、避難所運営のマニュアルやノウハウが蓄積されています。
    ・避難訓練が定期的に行われており、住民の意識が高い点も特徴です。

課題

  1. プライバシーの確保
    ・日本の避難所は大部屋での雑魚寝が一般的で、プライバシーがほとんど守られていません。性加害や児童虐待の問題にもつながりやすいです。
    ・パーティションや個室スペースの不足が課題です。
  2. 衛生環境
    ・トイレやシャワー施設の数が不十分で、衛生環境が悪化しやすいです。女性や高齢者には、特に大きなストレスになりやすいです。また、水分の摂取を控えるようになったりと、健康面への影響も懸念されます。
    ・長期的な避難生活では感染症のリスクが増加します。
  3. 設備の快適性
    ・簡易ベッドやマットレスがなく、固い床での生活を余儀なくされることが多いです。
    ・特に高齢者や障害者にとっては負担が大きい状況です。
  4. 運営の地域差
    ・避難所の運営は自治体に任されているため、地域ごとに大きな差があります。
    ・一部の自治体では避難所運営が十分に機能していないこともあります。
  5. 外国人や多様なニーズへの対応
    ・言語の壁や文化の違いによって、外国人避難者が十分な支援を受けられないことがあります。
    ・アレルギーや宗教的制約に対応した食事が提供されにくい点も課題です。
  6. 長期避難への対応
    ・仮設住宅への移行が遅れる場合、避難所生活が長期化し、心身への負担が増します。
    ・長期的な住環境の整備が十分でない場合があります。

海外との比較

台湾における避難所の状況
出典:内閣府「海外の避難所運営について」

イタリアにおける避難所の状況
出典:内閣府「海外の避難所運営について」

日本と海外の避難所の違いの大きなところは以下の点にあると思います。

  1. 運営主体の違い
    日本では、避難所の運営は基本的に自治体が担い、被災者自身が行うことが一般的であり、地域ごとに運営体制や支援の質に差があることが課題となっています。
    海外では、政府や支援機関が主導して運営を行うため、どの避難所でも一定の質が保たれる仕組みが整っています。
  2. プライバシーへの配慮
    日本では、学校の体育館や公民館の大部屋を使うことが一般的で、プライバシーへの配慮が不足しています。
    海外では、簡易テントやパーティションの使用や、仮設住宅の迅速な建設などプライバシーを確保する仕組みが整備されています。

まとめ

日本では、避難所は「一時的な生活の場だから、住環境が悪くても仕方がない」という価値観があるように感じます。我慢や忍耐を美徳とする考えもありますが、被災して苦しい状況にある人たちにこそ、快適な住環境を提供する必要があると思います。

石破首相は、現状を改善するため防災庁を設置する趣旨の発言をしています。災害大国の日本では、誰もが被災者になる可能性があります。災害の支援に対する取り組みは重要な課題であると言えます。

日本の避難所運営は、良くも悪くも自治体に頼りの運営になっています。海外のように政府がもっと介入し、地域差のない安定した避難所運営となることが相応しいでしょう。

参考資料

・NHK:快適な避難所”の迅速な開設を目指して イタリアと台湾に学ぶ
・内閣府:海外の避難所運営について
・内閣府:令和6年能登半島地震における 避難所運営の状況

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