script async src="https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js?client=ca-pub-3977870893130470" crossorigin="anonymous" 食品ロス問題について | 環境問題学習ノート ごみについて考えよう

食品ロス問題について

社会問題

「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物、私たちはどれくらい無駄にしているのでしょう?」

スーパーで売れ残ったお弁当や、家庭で冷蔵庫の奥に眠ったまま期限が切れてしまった食材など、私たちが気づかないうちに食品が廃棄されています。これがいわゆる「食品ロス」です。

食品ロスとは?

食品ロスとは、本来食べられるはずの食品がさまざまな理由で廃棄されてしまうことを指します。例えば、以下のようなケースが代表的です。

  • スーパーで売れ残ったお弁当や惣菜
  • 消費期限が切れていないのに廃棄された食品
  • 飲食店で食べ残された料理
  • 家庭で冷蔵庫に放置されて腐ってしまった食材

世界の食品ロスの現状

2021年にWWFが発表したデータでは、世界では生産された食料の約40%に相当する25億トンの食料が1年間で廃棄されています。この廃棄は、生産から消費者に届くまでのフードサプライチェーンの各段階で発生します。

※参考資料

WWF:Driven to Waste

食品ロスの原因

食品ロスの原因はフードサプライチェーンの各段階によって異なりますが、例えば以下のような理由があります。

  1. 生産段階(農業、畜産業、漁業者)
    ・規格外の野菜や果物が市場に出回らない
    ・収穫の際の技術不足や保管設備の問題
  2. 製造・流通段階(食品製造業者)
    ・容器の汚れや傷によって廃棄される製品
  3. 販売段階(小売業者、外食産業)
    ・過剰在庫や売れ残り
    ・飲食店での作りすぎや食べ残し
  4. 消費段階(消費者)
    ・食べ残し
    ・食品の管理不足
    ・過剰除去

収穫技術や保管能力の低い発展途上国では、生産・製造段階での食品ロスが多くなる一方で、先進国では「外観品質基準」の高さや賞味期限への過剰な意識、販売機会の損失を恐れての過剰供給などにより、製造・流通・販売・消費段階での食品ロスが多くなる傾向があります。

日本における食品ロス

農林水産省によると2022年の日本における食品ロスは年間472万トンであり、国民1人あたり毎日おにぎり1個(約100g)を捨てている計算になります。食品ロスの内訳は以下の通りです。

・家庭系食品ロス             236万トン

・事業系食品ロス             236万トン
・製造業                        117万トン
・卸売業                        10万トン
・小売業                        49万トン
・外食産業                    60万トン

食品ロスの約半分は家庭系食品ロスなので、消費者の責任も大きいと言えます。事業系食品ロスの原因のひとつに日本独自の商習慣があります。最近では見直されてきていますが、代表的なものを2つ紹介します。

  1. 1/3ルール
    食品小売業では、賞味期限の1/3を超えたものを入荷しない。2/3を超えたものを販売しない。これにより、まだ食べられる食品が廃棄される。
  2. コンビニ会計
    コンビニ会計の大きな特徴は、廃棄する商品の仕入れにかかった費用はオーナー店が負担するところにあります。それにより、値引きして販売し売れ残りを減らすより、廃棄した方が本部が儲かる仕組みになっています。以下の計算例で簡単に説明します。

通常の会計  

売上(販売価格×売れた数)-仕入れ価格(原価×仕入れた数)=利益

原価:100円
販売価格:150円
仕入れた数:10個
売れた数:7個
廃棄した数:3個
(利益の計算)
150円×7個-100円×10個=50円

原価:100円
販売価格:150円
仕入れた数:10個
売れた数:7個
値引き(90円)して売れた数:3個
(利益の計算)
150円×7個+90円×3個-100円×10個=320円 

コンビニ会計 

売上(販売価格×売れた数)-仕入れ価格(原価×売れた数)=利益

原価:100円
販売価格:150円
仕入れた数:10個
売れた数:7個
廃棄した数:3個
(利益の計算)
150円×7個-100円×7個=350円
ロイヤリティによる利益の分配 
オーナー店:175円 
本部:175円
(オーナー店の利益の計算)
175円-100円×3個=125円(赤字)

原価:100円
販売価格:150円
仕入れた数:10個
売れた数:7個
値引き(90円)して売れた数:3個
(利益の計算)
150円×7個+90円×3個-100円×10個=320円 
ロイヤリティによる利益の分配 
オーナー店:160円 
本部:160円

コンビニ会計では、通常の会計と違い廃棄処分した方が本部の利益が高くなるため、値引き販売はされにくい傾向にあります。また、廃棄があっても本部は損をしないため、販売機会の損失を恐れてオーナー店には過剰に仕入れをさせる傾向にあります。

因みにコンビニのフランチャイズ率は80~90%であり、ほとんどのコンビニはオーナー店です。

※参考資料

農林水産省:食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢
消費者庁:食品ロス削減ガイドブック

食品ロスがもたらす影響

環境への影響

食品ロスの問題は地球温暖化にも関係します。食品の生産・保管・加工・輸送・消費・廃棄などの食料システム全体における温室効果ガスの排出量は、人為的に排出される全温室効果ガスの21~37%の排出量だとIPCCは推定している。そのうち約40%の食品が無駄になっているのだから、食品ロスによってかなり余計な環境負荷をかけていることになります。

日本では、家庭から出る一般廃棄物の焼却処分にかかる費用は、税金によって賄われています。消費者庁の「食品ロス削減ガイドブック」には、令和元年度のごみ処理事業経費費用は約2.1兆円であると示されています。国民一人当たり年間16800円を負担していることになります。生ごみは水分を多く含むため重いです。多くの自治体では、可燃ごみの焼却処分費は重量によって決まります。食品ロスを減らすことは環境負荷を下げることだけでなく、税金の有効活用にもつながります。

※参考資料

消費者庁:食品ロス削減ガイドブック
IPCC:気候変動と土地に関する特別報告書

倫理的問題

多くの食品ロスが生じている一方で、FAOのデータによると、世界の約30%の人が十分な食事を取れておらず、10人に1人は飢餓状態であると言われています。

消費者庁の調べによれば、日本おいても子供の9人に1人が貧困に苦しんでいます。また、食料自給率もカロリーベースで約38%と低く、多くを輸入に頼っている現状を考慮すると倫理的な矛盾を感じます。

※参考資料

FAO:世界の食料安全保障と栄養の現状 2022年報告
消費者庁:食品ロス削減関係参考資料

私たちにできること

消費行動の見直し

家庭で食品が捨てられてしまう理由

1位        57%      食べきれなかった                          
2位        23%      傷ませてしまった                          
3位        11%      賞味期限・消費期限が切れていた  

生活の中でできること

・料理を作りすぎない、残さず食べる。
・買い物をするときは計画的に行う。
・食品の管理をしっかり行う。
・宴会時に30・10運動に取り組む。

※30・10運動:お酒やおしゃべりに夢中になり料理を残してしまうことを防ぐために、開始30分間とお開き10分前は食事に集中することを促す運動。

賞味期限と消費期限

賞味期限:美味しく食べられる期限。期限がきれても安全に食べられる。
消費期限:安全に食べられる期限。

両者の違いがきちんと理解されず、まだ食べられるにも関わらず、賞味期限が切れた食品が捨てられてしまうケースがあります。

食材の過剰除去

人参の皮や大根の葉、ブロッコリーの芯など食べられるにも関わらず、捨てられがちな部分があります。このような箇所を有効活用することも食品ロス削減のためには大切です。

因みに僕は、人参の皮は剥かずに使います。大根の葉はチャーハンの具材にします。ブロッコリーの芯は野菜炒めにします。どれも美味しいので皆さんも試してみてください(^▽^)

※参考資料

消費者庁:食品ロス削減ガイドブック

日本における食品ロス削減の取り組み

フードシェアリング

最近注目されている「フードシェアリング」とは、飲食店やスーパーの売れ残り、農家の規格外野菜などを、フードシェアリングアプリを通じて必要としている人に届ける仕組みです。例えば、TABETETabeloopといったサービスが広がっています。

フードバンク

食品メーカーやスーパー、農家などから賞味期限の近いものや売れ残りの食材を寄付してもらい、福祉施設や子ども食堂、生活困窮者などに配布する活動のことです。

フードドライブ

家庭や企業で余っている未使用の食べ物を集め、必要としている人々や福祉団体に寄付する活動のことです。この活動は、地域のボランティアや学校、企業、自治体が協力して行われることが多く、フードバンクや福祉施設などに寄付されます。

海外の取組事例

中国:反食品浪費禁止法

飲食店が客に過剰な注文を促した場合に罰金が科されます。客が大量の食べ残しをした場合は、飲食店側は処分費を客に請求できます。また、メディアが大食いコンテンツの制作・配信を行うことは禁止されています。

アメリカ:シェアテーブル

学校給食で食べられないものがある場合、シェアテーブルにおくことで他の生徒が手にできる仕組みです。

フランス:食品廃棄禁止法

売り場面積400平方メートルのスーパーに対して、食品の廃棄禁止を義務付ける法律です。売れ残った商品は廃棄せず、慈善団体やフードバンクへ寄付することが義務付けられています。

※参考資料

SDGs CONNECT:世界の食品ロス取り組み事例5選

まとめ

食品ロスの問題は、私たちの生活に直結しています。一人ひとりが意識を変えるだけで、食べ物の無駄を減らし、環境への負担を軽減することができます。

今日からできることとして、以下の3つを心がけてみてください。

  1. 計画的な買い物を心がける
  2. 食材の有効活用(例えば人参の皮やブロッコリーの芯を活用)
  3. 賞味期限と消費期限の違いを理解し、無駄な廃棄を減らす

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