script async src="https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js?client=ca-pub-3977870893130470" crossorigin="anonymous" 原発は持続可能か?廃棄物が問いかける未来 | 環境問題学習ノート ごみについて考えよう

原発は持続可能か?廃棄物が問いかける未来

社会問題

原子力発電には、エネルギー効率が高いというメリットがある一方で、安全面への懸念や、中間貯蔵と最終処分の遅延の問題など、未来に向けた重要な課題があります。

一方で、政府は原発をできる限り活用していく方針を示しています。今、改めて原発について考えるべきではないでしょうか?

本記事では、原発が抱える課題について取り上げます。

使用済燃料と高レベル放射性廃棄物の問題とは?

使用済燃料

出典:資源エネルギー庁「放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて」

原子力発電では、ウランを核分裂反応させる過程で生じる熱を利用して発電しています。資源の少ない日本では、使用済燃料の再処理を行い、再利用可能な部分を抽出する核燃料サイクルを推進しています。

かつて日本は、再処理工場のあるイギリスやフランスに委託していましが、現在は自国で行えるようにするために、青森県六ケ所村に再処理工場を建設中です。

使用済燃料は、重量にして95%が再利用であり、資源の有効活用や高レベル放射能廃棄物の削減などのメリットがある一方で、以下のような課題があります。

・六ケ所村に建設中の再処理工場の完成時期の延期が繰り返されており、いつ稼働が実現するかは不透明。

・使用済燃料の貯蔵状況に余裕がないことです。使用済燃料は六ケ所村の受け入れ貯蔵プールや各地の原発の貯蔵プールで保管されているが、2023年時点で総量の約80%まできている。

また、六ケ所村の再処理工場の建設には14兆円超えの費用がこれまでに投じられています。

高レベル放射性廃棄物

使用済燃料は再処理をしても5%が再利用のできない廃液となります。この廃液をガラス原料と溶かし合わせ、ステンレス製の容器に流し込んで冷やし固めた「ガラス固化体」が高レベル放射性廃棄物です。いわゆる「核のゴミ」と呼ばれるものです。

貯蔵管理の現状

出典:資源エネルギー庁「放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて」

ガラス固化体は、青森県六ケ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵管理されています。ガラス固化体からは強い放射線がでますが、安定した物質であり、約2mのコンクリートがあれば遮蔽できるので、安全に管理ができます。

最終処分に向けた課題

高レベル放射性廃棄物の最終処分方法としては、地下深くの安定した岩盤に閉じ込め、人間の生活環境から隔離する「地層処分」が最適であると、国際的に考えられており、日本では地下300m以深の地層に処分することになっています。

出典:資源エネルギー庁「放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて」

高レベル放射性廃棄物を閉じ込める仕組みは、上記のイラストのように、ガラス固化体をオーバーパックと呼ばれる分厚い金属で覆い、更にその周りを粘土質の緩衝材で覆います。これらの「人工バリア」で覆われたものを地下深くの岩盤に埋設します。岩盤も放射性物質を外部に漏らさない効果があり「天然バリア」と呼びます。

「人工バリア」と「天然バリア」の「多重バリア」によって、高レベル放射性廃棄物が地上の生活に影響を与えることを防ぎます。

しかし、高レベル放射性廃棄物が天然の「ウラン鉱山」程度の放射線量になるまでには10万年程かかると言われており、オーバーパックも腐食してしまいます。一般的に地下深部は安定していると言われていますが、地震や火山活動が盛んな日本において、安定した岩盤を探すことは困難であると同時に、最終処分場として受け入れたいという自治体も少ないため、最終処分場の選定はなかなか進まないのが現状です。

なぜ脱原発が難しいのか?

原発は安全面への懸念や廃棄物問題など、解決の見通しが立たない課題を抱えています。それなのに脱原発が難しいのには、次のような理由があります。

  1. エネルギー供給の安定性
    地球温暖化対策としてCO2削減が求められています。再生可能エネルギーは天候や時間帯に左右される欠点があり、安定供給の観点から支持される場合があります。
  2. 経済的要因
    原発を建設・維持するには莫大なコストがかかります。また、廃炉にも多額の費用がかかるので、再稼働させた方が経済的には優しいと考えられる場合があります。
  3. 雇用と地域経済
    原発を立地している地域では、原発関連の雇用や補助金が地域経済を支えている場合があります。
  4. 電力会社への影響
    電力会社は使用済燃料を再利用価値のある資源として保管しているため、資産という扱いになっています。脱原発が進み、使用済燃料がただのゴミとなると大損になります。

最後に

エネルギー問題は、環境・経済性・安定供給などのさまざまな視点から考える必要があります。原発が抱える課題や脱原発が難しい理由を知り、あなたは何を思いましたか?

エネルギー問題は難しい問題であり、正解もありません。しかし、だからこそ考えることを辞めてはいけないと私は思います。

参考資料

資源エネルギー庁:放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて
資源エネルギー庁:使用済核燃料を有効活用!「核燃料サイクル」は今どうなってい後る?
資源エネルギー庁:「六ヶ所再処理工場」とは何か、そのしくみと安全対策(前編)
資源エネルギー庁:「六ヶ所再処理工場」とは何か、そのしくみと安全対策(後編)

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